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お陰様で護は、夜が明ける頃には普通の人並みに文字を読むことは出来るようになっていた。
「ありがとう。サーシャ。」
護は隣でテーブルに伏しているサーシャに呟いた。
体力が尽きたサーシャは山積みの本に囲まれ規則的な寝息を立てている。
護はそんなサーシャを見て自分もこの場で寝てしまいたいと欲に駆られるが一枚のメモを握り締め睡魔を振り払う。
「じゃあ、行ってきます。」
サーシャを起こさないよう出来るだけ音を立てず護は書庫から廊下へと出た。
昨日、アーニャに言われた通り今日もギルドに行かなければならない。
護は城門へと歩を進め、玄関口の広間まで来たところで護は足を止めた。
「おはようございます。護様。」
燕尾服と黒を基調としたエプロンドレスを纏う男女の声が重なる。
突然のことで護の思考は停止。
二人の顔を交互に見合って
「えっと、どちら様?」
声を漏らすのが精一杯だった。
「申し遅れました。私、この城の使用人で名をアルシエ・ナージェストと申します。」
「同じく使用人のリアス・リグレスです。以後宜しくお願いいたします。」
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