01:始まりを告げる流星

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呼び鈴を鳴らす感覚は次第に短くなり 扉を叩く音は部屋の壁まで震わせていた。 「こら!出てきなさい護(マモル)」 扉の向こうの相手。 水瀬 奏 (ミナセ カナデ)が怒鳴る。 「今日は学校行くって約束でしょうが!早く支度して出てこい!!」 絶えず、呼び鈴と扉を叩く、というより蹴っているであろう音 そして、奏の怒声が響き渡る。 「あいつは、近所迷惑とか考えねぇのか。」 護と呼ばれた少年は布団の中で呟く。 すでに老朽化がかなり進んでいるこのアパートはとにかく音が響くのだ。 が、奏はそんなことはお構いなし。 しかし、しばらくして 「ねぇ、早くしないと私行っちゃうよ?」 いいの?と今までとは感じの違う声音で尋ねてきた奏。 気づけば、嵐のような音も鳴り止んでいる。 護は内心ほっとしてベッドから起き上がった。 「奏のやつ、行ったの―――」 か?と言い切る前に背中が跳ねた。 何故か? ベッドからも見える向こう。 閉まっているはずの扉の鍵が開く音がしたからである。 背中に滝のように冷や汗が流れる。 何故か? 開かれた扉の向こう。 朝日に照らされた制服姿の女子。 髪を後ろで束ねた水瀬 奏がこちらをじっと見つめていたからである。 「なんだ、起きてるじゃん♪」 護が起きているのを確認して微笑む奏のその顔は眩しく ―――最悪の笑顔だった。
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