入学

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眉尻を逆あげ、口を開けようとした。 何の事だか、理解できぬと。 だが、そこまでしてようやく気付いた。 喉は締まり、唇は乾ききって、喋れなくなっている事に。 「……」 乾いたスポンジが辺りにある水を吸いとっていく様に、口腔の水分が激しく減少していた。 そして、乾ききり、渇ききった喉と唇では喋る事もままならなかった。 校長は先程までとは一変、不敵な笑みを浮かべ、こちらをじっと見ている。 「……君が何を言わんとしているかは分かる。『何の話だか、分からない』と言いたいのだろう。だが、甘かったね。私は既に知ってしまっている。君の過去を…」
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