プロローグ

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"天は人に二物を与えず" 嘘もいいところだ。 アイツは二物どころか三つも四つも与えられているじゃないか。しかし俺には一つもありはしない。 勉強だってスポーツだって、人となりだって、俺がどんなに努力してもアイツはアッサリその上をいく。 ……まったくもって不公平だよ、この世の中は。 人の数だけそれぞれの物語がある。 そう誰かが言っていた気がする。でも俺はそうは思わない。どんな物語にも主役と脇役がいるのと同じで、脇役でしかない奴が、誰かの物語の一部でしかない奴がきっといるんだ。 俺のように。 ……でも。 でも、いいよな? 主役になれる日を夢見るくらい。主役になる為に努力するくらい。 不公平で不平等な神様に見せ付けてやるんだ、何も与えられなかった人間の意地ってやつを。
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