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「ごちそうさま」
「ごちそうさまー」
「はいお粗末様」
俺と姉さんはほぼ同時に食べ終わる。そして同時に食器をキッチンに運び、同時に洗面所に向かう。
この時姉さんは俺の後ろにピッタリ付いて来る。理由は不明。でも後ろをトテトテ歩いて来る姉さんは何か可愛い。
絶対に口にはしないけど。
洗面所では二人並んで歯を磨く。そして洗顔をする。
全部終わって二階に上がると、漸くこの奇妙なツーマンセルは終わりを告げるのだ。それぞれの部屋に入るからな。
部屋に入った俺がすることは、まず荷物の確認だ。前の番に翌日の準備はしてるけど、念には念をってやつだな。忘れ物して困るのは自分自身だし。それが終わると着替え。
ウチの学校の制服、格好良いのはいいんだけど動き難いんだよな。もう夏服だからあんま関係無いけど。
鏡で格好を確認する。少々寝癖が残っているが、気にする程じゃないか。よし、このままにしとこう。
準備が完了した為早速学校に向かうとする。愛車(自転車)の鍵を持って部屋を出た。
「あら、もう行くの? 相変わらず早いわね」
挨拶しようとキッチンに行くと、母さんに先手を打たれてしまった。これもいつもの事なのだが。
「俺は"あいつ"のように万事上手くはいかないからね。地道な努力が必要なの」
「そう……。でも、無理しては駄目よ」
こうやって心配してくれる辺り、自分はしっかり愛されてるんだなぁと実感できて嬉しい。
……恥ずかしいから口にはしないが。でもクスリと笑う母さんを見ていると、バレている気がして仕方ない。
「そ、それじゃ行ってきます」
「行ってらっしゃい」
俺は逃げるようにしてその場を立ち去った。
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