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逃げようとした瞬間、首根っこを凄まじい握力で掴まれる。そして、鬼神と化した涼子が笑顔で口を開く。
「晃、いまなら怒らないから訂正する時間をあげるよ」
「何を訂正するんだ? 俺は客観的に事実を述べたまでだぜ」
さらに掴む力が強まった。ふっ、警察さえ回避出来れば全然OKなんだよ。でも何故だろう? 体から変な汗がどんどん出てくるな~。
「晃、ラストチャンスよ。訂正する時間をあげる」
「なぁ、涼子。現実を見ようぜ。いくら目を背けたってお前が貧乳である事実は変わらな……ぐふっ」
最後まで言う前に、俺の腹に世界チャンピオン顔負けのパンチが入る。さすが、祖父が空手の道場をやってるだけある。
このパンチならきっと五輪に出れる。今さらだが、よく考えてみると俺って警察よりも先に病院行きなんじゃないか?
「晃、そのワードは発育の遅い女子全てを敵にまわす言葉よ。そういう発言ってセクハラになるって知ってる?」
涼子は平然を装っているが、明らかに焦っている。ここは、最後の交渉に入るべきだ。俺は、涼子を説得することにする。
「涼子、諦めて正直に生きろよ。見栄張って胸パット買ったりブラ買ったりするのは金の無駄だ。きっと貧乳が好きだって言うやつもいるさ。だから自分に嘘はつくなよ」
説得の甲斐あってか、涼子が俺を解放してくれる。案外、物分かりがいいじゃないか。
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