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「分かってくれたか。じゃ俺はこれで失礼させてもらうぜ」
俺は逃亡を図る。だが遮るように涼子が口を開く。
「あんたに……」
「ん? 何だ涼子まだ何かあんのか?」
「あんたに……あんたなんかに貧乳の気持ちが分かってたまるかっっ!!」
涼子がそう叫んだと同時に、パンチが入る。俺の体が店の宙を舞い、そのまま試着室に墜落。中では、誰かが試着をしていたみたいだ。
着替えてるのが美人なら、この痛みも喜んで受け入れよう。だが、人生そんなに上手くいくわけない。
確かに女性はいた。推定年齢四十歳後半の、太ってるオバサンがいた。何だろう、急に花畑が見え向こうで誰かが俺の名前を呼んでいる。
「きゃー! 覗き、痴漢、変態よ!」
オバサンの悲鳴で意識が戻る。冗談じゃない。こんなことで捕まったら死にきれない。
「ちっ、涼子逃げるぞ」
俺は涼子の手を引いて走り出す。
「えっ? ちょっと、私は関係ないでしょ!」
「うるさい! お前が原因だろ。だから涼子も共犯だ!」
とりあえず警備員が来る前に俺達はデパートを脱出する。
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