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真夜中。誰一人として歩いてない街のメインストリートを、俺は黒いマントを身に纏い足早に歩いていく。服に先程殺したやつの返り血がついているが、拭いている暇もなければ、気にしてる暇もない。
春らしい冷たい夜風が、戦いの後の火照った体を撫で、とても気持ちがいい。戦いの時のあの高揚感、戦いのあとのこの爽快感。この二つを求めて、戦いをしていると言っても過言ではない。
それにしても、こんな街中で依頼人と密会する意味が分からない。人が来ないような森、廃墟、洞窟など場所はいろいろあるだろうに。
だが、文句を言っても仕方がない。依頼人の言うことには、絶対遵守。人がやりたがらない殺しや、盗みなどの汚い仕事も平気で実行する。それが俺たち過激派の売りだ。
メインストリートから、少し外れた路地裏に入る。五分程して合流場所に指定されている、酒場に到着する。たしかここで待ち合わせのはずだが、閉店しているようだ。
それでも構わず扉を開ける。どうやら、鍵はかかっていないらしい。店内に入り確認すると、やはり閉店しているのか電気は消えている。
窓から差し込む月明かりが、店内を照らす。よく見ると、カウンターに誰かが座っているようだ。こちらが話しかけようとすると、向こうから話しかけてきた。
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