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「よう。待ってたぜ。まぁ、座れや」
素直に男に従い、カウンターに座る。この男が今回、俺に仕事を依頼している人物だ。
「すみません。最近監視が厳しいものでして」
「別に怒ってはない。……その染みは血か? ちゃんと処理したんだろうな?」
用心深い依頼人だ。俺はプロだぜ。そんなヘマするわけがない。
「俺はそんなヘマしませんよ。証拠は何も残してないです。そもそも先に攻撃してきたのは向こうなんですから、いわゆる正当防衛ってやつですよ。」
俺のこの言葉に依頼人は笑いだす。
「くっくっ。正当防衛ねぇ~。まぁ、そういうことにしておこうか。どうする? 酒でも飲むかい?」
そう言って依頼人は酒を勧めてくるが、断っておく。
「いや、いりません。用が済んだらすぐに帰ります」
「そうかい。じゃあ、手短に済ませるとしようか」
依頼人が真顔で俺の方に向き直る。
「要件は簡単だ。早く大聖核を見つけてこい」
大聖核……。それが何なのかは知らないが、この世界を左右する重要な物だということは聞かされていた。だが、イマイチ想像がつかない。
「わかっています。しかし、もらってる情報が少ないものでして……」
実際、あれだけの情報で探せと言う方が無茶なのだ。色や形、特徴すら知らされずにどうやって探せと言うのか?
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