平和な日常

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 出会いの季節、春。本来ならば気持ちいい風が吹き、とても爽やかな季節のはずだ。  中学校での卒業式を終え、高校に入学するまでの春休みを俺、高崎晃希(タカサキコウキ)は、春とは思えない堕落しきった生活をおくっていた。  外見は極普通というか、むしろ真面目に見えるはずだ。筋肉質ではないが、引き締まった体つきをしていると思う。  髪も染めたりせず黒髪。髪型は、無造作。堕落した生活は、俺がグレているからではなく性質が大きく影響している。 「おっ! この画像良いじゃん。こっちの動画もなかなかだ」  といった具合に、深夜三時まで様々なサイトを年齢制限の壁を乗り越えて渡り歩き、画像や動画などを集める。それを、整理し保存して就寝。  午後三時に起き、ブックオ○で夜になるまで漫画を読む。そしてまたネット。このサイクルで、俺の春休みは回っている。  だが、今日はちょっと違う。午後一時に起床し、遅めの朝食を食べ、電車で五分とかからない繁華街へ合流した悪友二人と共に向かう。  繁華街に向かうのはもちろんカラオケやショッピング、ボーリングなど普通の高校生がやるものじゃない。  むしろそんなことに金を使うならば、男子高校生がベッドの下に隠し持つと言われている、大人のための教科書を買った方がましだ。  繁華街のある駅に着く。休日ってのもあってか、歩くのが難しいくらいに改札付近は混雑している。  とりあえず人波をかき分け、俺たちがいつも拠点にしている駅南口にある、ファーストフード店に向かう。時間は、四時過ぎといったところだろうか。
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