平和な日常

4/25
前へ
/230ページ
次へ
 少し間を開けてもう一人の悪友が口を開く。 「それで、今回のテーマってどうするんですか高崎先輩?」  もう一人の悪友は、佐藤翔(サトウショウ)と言う。俺と江口の中学の後輩で、俺が卒業してからも結構つるんでいる。いわゆる忠実な舎弟って感じだ。 「よくぞ聞いてくれた佐藤少佐。今回のテーマは……」 「ちょっと待て。なんで、俺より佐藤の方が階級が上なんだ?」  思ったより鋭い。江口はもっと鈍い奴だと思っていたんだがな。 「口を慎め江口少尉。佐藤少佐に失礼だろうが! 単純に佐藤の方がエロセン(エロいセンス)が上だからだ」 「確かに、佐藤のエロセンは認めるぜ。でも、戦績は互角ぐらいじゃないのか?」 「いや、ギリギリでお前の負けだ江口」  悔しそうな表情で江口が言う。 「マジか~。このままだとまたもってかれちまうじゃん」  江口のテンションが極端に下がったが、とりあえず放置しよう。 「……気を取り直して言うと、今回のテーマはお姉さん系だ」  さっきまで沈んでいたはずの江口が、急に目を輝かせて言う。 「ふっ。高崎大佐、そのテーマなら俺が貰ったぜ~!」 「江口先輩、年上を選ぶセンスはすごいですからね~。僕も気が抜けません」  俺は特に慌てもせずに告げる。 「まぁ、今回は江口の得意部門にしてやったんだ。ハンデだと思ってくれたまえ江口少尉」 「その余裕がいつまで続くかな高崎大佐。今回で下剋上じゃー!」  やたらとハイテンションに江口が叫ぶ。声が大きかったためか、かなり見られてる気がする。が、そんなことを気にしていてはこの勝負は成り立たない。 「時間制限は一時間。だから、大体五時頃までだな。終わったらまた、このファーストフード店に集合な。では、第十回ガールズウォッチングの開催をここに宣言する。各員の健闘を祈る」 「よっしゃー!!」  二人の叫び声を合図に、ガールズウォッチングが始まる。
/230ページ

最初のコメントを投稿しよう!

73人が本棚に入れています
本棚に追加