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「食堂に行くか?」
迅がニヤニヤといやらしい顔でそう言う。
「止めろよ……。
どうなるかお前も知ってるだろ……。」
入学してまだ日が経たない4月だった。
中学から一緒だった迅と食堂で飯を食っていた時だ。
ガヤガヤとうるさいと思って後ろを見渡すと女子生徒がいるわいるわで……。
俺の隣の席をめぐって乱闘をしだしたのがいまだ鮮明に思いだせる。
「いいじゃん!
うらやましい限りだけどな~。」
「止めろ。ほら屋上に行こうぜ?」
「ちぇっ。まぁいいけど。」
教室を出て階段を登っていく。
階段を登っていくと相変わらず、頑丈な鉄格子がある。
「早く開けてくれ。」
「ちょっとまてよ……。」
迅はポケットから針金を取り出した。
それを慣れた手つきで南京錠に針金を入れてガチャガチャといじくっていく。
何故かこいつは手先が器用でこういうのが得意だ。
「よっ、この、『ガチッ』よし!」
まぁ、いつも昼休みはこの屋上で過ごしてる訳で……。
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