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「ガァァ!」
二匹同時に飛びかかったその後、互いに左右に分かれて挟むようにケイラを追い込んだ。
「それっ」
ケイラは、左手に持つ鞘を先にやってきた方のバイラスへ投げつけた。
「ガウッ!」
真正面からの打撃で怯み地面に叩きつけられる。
「1」
その隙に、遅れてやってきた方の胴体を差し貫き真っ二つに裂けていく。
ケイラは血飛沫を直に浴びてしまうが目を閉じることなく続けた。
「2」
すかさず一歩踏み出し、先に叩きつけたバイラスの心臓目掛けて剥ぎ取り用のナイフを突き刺した。
「ガッ!」
暫くのたうち回り、暴れまわったがケイラはバイラスの上からナイフを更に深く押し込んでいく。
「はぁ……はぁ……目に入ってきた」
次第に弱って動かなくなったところでナイフを引き抜く。
ようやく終わったと一息ついて、顔やコートにべったりとついた血を袖で拭う。袖にまでついていることで中々拭えない。
「……ケイラさん」
そんなケイラに、綺麗な布を渡そうとした。
だが身体中真っ赤にしたその姿に、伸ばした手が震えてまともに伸ばせなかった。
「気持ち悪いだろ、素直に言えよ」
「ごめんなさい……」
ケイラの方から布を受け取り、顔の血を拭った。
「こんな姿、怯えないのがどうかしてる」
そう笑って顔を拭うケイラはどこか顔を隠しているかのようだった。
「それより、剥ぎ取り用ナイフ折れちまった」
手に持っていたナイフは強く指しすぎてポッキリ根元から折れていた。
「私のありますから、やっておきますよ」
「できんのかよ?」
ついさっき初めてやったばかりの素人がと心配だったが、戦ってすらいないリアンは何か役に立とうとしているのだろう。
「……頑張ります」
慣れない手つきで肉と皮を剥いでいく。
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