297人が本棚に入れています
本棚に追加
翌日、町の鍛冶屋の二階寝室。
「……ふぁぁ」
大きな欠伸をしながら目をこすり目を覚ますケイラ。すっかり遅くなっていた為に好意で泊めて貰えたのだった。
目覚めた時には外はすっかり明るくなっていた。
「あ、こんにちは」
ケイラが起き上がったのをいち早く見つけたリアン。ニッコリと軽く頭を下げて挨拶をする。
「ん……朝なのに?」
まだ寝ぼけた眼で、リアンに聞く。
「もうお昼時ですよ」
ちょっと笑いながら部屋のカーテンを開けて日の光を入れる。
外では、再び昨日と同じような人々の行き交う姿があった。
「え、マジか……朝ご飯食べ損ねたな」
眩しそうに目を塞ぎ、どこか悔しそうにベッドから這い出てきた。
「今、お昼ご飯と取り替えようとしてたんですけど」
そう言って、リアンの手には湯気のたった作りたてのお昼を乗せたお盆があった。
そして、ベッドから少し離れた部屋の中央に朝ご飯だと思わしきお盆が乗せてある。
「いや、そこ置いといて。両方食べる」
「大丈夫なんですか?」
両方足したら結構な量になってしまうが、食事前で活き活きとしているケイラは止まる事を知らない。
「このくらい、朝飯前」
「朝飯過ぎて昼飯前になってますよ?」
「物の例えだよ例え」
ケイラの言葉の意味が変だとリアンは首を傾げるが彼は呆れつつも、彼女からお盆を受け取りテーブルに昼ご飯と朝ご飯を並べる。
「んじゃ、いただきます!」
手を合わせてから、まずは先にテーブルに置かれていた朝ご飯の方から手をつける。
薄くスライスした肉と野菜をパンで挟んだサンドイッチと、野菜のたっぷり入ったスープ。
「美味しい」
どちらもすっかり冷め切っていたが、それでも構わずケイラは食べ出す。
サンドイッチは一口で頬張れるくらいに大口開けて噛み千切り、程よく咀嚼したところで野菜スープを流し込む。
冷たくも香ばしく煮立った野菜が口いっぱいに広がっていく。
「そうですか、良かったです。」
美味しそうに食べてもらって満足げな笑み。
「おまえが作ったの?」
「はい」
最初のコメントを投稿しよう!