胸に刺さる記憶の欠片。

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腰に手をあてて胸をはって見せればいつるにまたにっこりと微笑み返された。 うぅ…っ!その笑顔が怖いっ!怖いオーラでまくりなのに、でも…可愛いっ!でも怖い!…でもやっぱりっ 「あいか姉さ……」 「―…っもうっ、いつる可愛いっ!!」 ガバッと抱きついて頬擦りする。いつるの方が身長が高いから肩口に頭を預けることになるのが悔しいけど…。 「………あいか姉さん。真面目に話を聞いて下さい。」 「なんで姉の私よりもいつるの方が身長高いのよぉ…」 「―――…………姉さん。」 あれ?なんかヤバいかも…? にっっっこり、とでも音がつきそうな笑顔を浮かべたいつるの額に青筋が見えるのは私の気のせいじゃ… 「あいか姉さん。いい加減にして下さいよ?僕だってそろそろ怒ります。」 ないですよね―…。いつるの表情はもはや笑顔ではなかった。 「……ご…めんなさい……。」 「姉さん。貴女は確かに今年18歳です。そして僕よりも1歳だけとはいえど、姉だ。だけどね、貴女の場合、けっして1人で買い物できる。なんて豪語はさせません。というかさせられません。」 そこでいつるは小さく息を吐き怒りを解いてくれたようだ。 ぎゅっと手を握られて本屋から連れ出される。 「…いつる、買い物…は…?」 「もう僕がしました。」 そういわれていつるの右手を見れば、確かに私が買うはずだった食材が入った買い物袋が握られていた。 「……ですよね。」 「家に帰ったらお説教です。」 …はい。としか言えなかった。弟にお説教される姉って…私くらいよね。…あ…なんか言ってて悲しくなってきたわ。
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