皐月

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皐月は今、目の前で起こっている現実を受け入れることが出来なかった。 とどまる事を知らない雨。 顔も服も真っ赤に染まった自分も、赤黒く染まった目の前で横たわる黒服の少年も…。 何もかも非日常すぎて、信じられるわけがない。 なんだか、周りが騒がしくなってきた。 叫び声さえ聞こえる。 皐月はボーっとそんなことを考えていた。 「ははっ。そっか、車が来て…ドンッて大きな音がして、それで……この人は…なんで、あたしなんか助けて…馬鹿ね。あははははっ。」 皐月は狂ったように笑うと意識を手放した。
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