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「はぁ…」
帰宅途中、楓は幾度となくため息をついていた。 あの後簡単に校内を案内され、担当するクラスの名簿をもらうと早々に帰された。まだ6時前だというのに。
「何なのよもう…」
こんな時頭によぎるのは…あの頃の記憶。まだ楓が、堪えていた頃の記憶。
忘れるように頭をぶんぶん横にふると、楓は自宅の鍵を開けた。
今回の赴任に備えて、楓は部屋を借りた。実家から数キロ離れたアパートだ。
実家が学校から遠い、というだけではない。それ以上に、できるだけ実家から距離をおきたかったのだ。
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