15人が本棚に入れています
本棚に追加
午前7時。楓は職員室にいた。
まだ他の教員は誰も来ていない。きっと8時頃になるまで来ないだろう。
楓もそのつもりだったのだが、緊張して早く起きてしまったのだ。
ふと、隣の机の花瓶にかざったコスモスが萎れていることにきづき、それに触れようとした、時。
「あれーっ!誰かいる!」
声に驚き、楓は振り返った。こんな時間に登校している生徒がいるなんて…
だが、振り返った楓はさらに驚いた。その少女の風貌に。
にっこり笑うその目の上、眉のあたりに切り揃えられた前髪、同じく腰の当たりで切り揃えられた黒い長髪。そして、紅い着物を纏っていた。
小学生の私服とはとても思えない。いうなれば、そう。
「座敷…童…?」
言った後に、楓はハッと我に帰った。
(何言ってんのアタシ…この子は生徒よ!)
そう考えを改めると、楓はキッと少女を睨みつけた。
(来たばっかだからって、なめられてたまるもんですか!!)
「何してるの!!早く着替えてきなさい!」
怒声を聞き、少女は一瞬きょとんとしたが、やがて笑いだした。
「…キャハハハハ!」
「何がおかしいの!!」
「おかしいよ、お姉さん」
最初のコメントを投稿しよう!