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「…」
正直、楓に恐怖はなかった。目の前に降り立った少女は、とても美しかった。
澄んだ漆黒の瞳に、影を落とすほど長いまつげ。恰好が違えば、天使と言われるだろう。
呆然とする楓を見て、少女はまた笑った。
「ふふっ別にお姉さんを食べたりしないよ?」
そんな恐ろしいことを楽しげに言って、少女はとんっと床に降りた。
「お姉さん、名前は?」
「…江口…楓…」
「楓姉さん、か…」
少女は楽しそうに目を細めた。
「これっあげる♪」
「え!?」
ぽいっと投げられたモノを慌てて楓は受け止めた。
そして
「あ、あげるって…」
楓が次に顔を上げた時には
「…あれ?」
少女はもういなかった。
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