第三章 折れたハイヒール

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 楓は走り出した。自宅とは逆の方向に。  『…それは本当ですか!?』 『あぁ間違いない、長からの伝達だ。<早急に捕らえ、殺せ>と。』 『でもまさかそんなことが…』 『とりあえず、そいつの家はもう燃やした。後は村人全員でそいつを叩き殺すだけだ。』 『わかりました!子供たちにも協力させます』 『頼んだ。あと、他の方々にもこう伝達を回してくれ』    江口 楓を     殺せ  「はぁっはぁっはぁっ…」 怖かった。まだその会話だけならよかったが、実際家の方角を見ると、いつの間にかめらめらと炎が上がっていたのだから。 (なんでっ…どうして…!!?)  裸足でよかった。ハイヒールなんかじゃ、走れなかった。それくらい楓は必死に走っていた。 心が叫んでいた。 「アノ ヒト タチ ハ ホンキ ダ。 ワタシ ハ コロサレル」 と。
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