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歩けば歩くほど目的地が遠退く、そんな気さえする山道。
幼い頃からあの時までずっと歩いていたとはいえ、さすがに10年も都会に住んでいたのだ、都会慣れするのも当たり前だ。
そして都会慣れした人間に、この山道は酷なほど急である。
両脇にある木々さえ、変わらない風景にインプットされれば癒しでも何でも無くなる。今が秋であることがせめてもの救いだ。
やっと目的の小学校が見えてきた。
[緑に囲まれた丘の上に建つ、情緒溢れる小学校]とは、まさにモノも言い様である。要するに、[田舎の山の頂上に建つおんぼろ小学校]だ。
そんなことを、小さい頃の楓はよく思っていた。
楓はゆっくり足をとめ、ただよう雲を背景とする母校を仰いだ。
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