林檎の季節

第一章 静かな雲

　二人を見比べると、確かに似ている面がある。どことなくだが。

　｢紹介が遅れましたな、こやつは教頭の悠一と申します｣

　その言葉を聞いて、楓はしばし停止してしまった。

　(教…頭…？)

　勢いよく後ろを振り返れば、さっきの気弱な笑顔。さっきと変わらない、のだが。

(なんかっ…振り返るたびにこの人偉くなってる気がするっ…！)

　｢まぁ、教頭とゆうてもこやつはまだ教師になって三年の半人前じゃ。びしびししごいてやってくださいな｣

　かっかっと高らかに笑うこの校長は、その発言の重大さに気付いているのだろうか…

(三年で…教頭…!?)

　ここで上手くやっていけるのか、楓は早速自信喪失していた。