巻詩

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人は何れ命を落とす それはこの世で最も哀しく 辛くそして憎むべき理 その哀しき運命を その辛き定めを その憎むべき摂理を 幾ら変えようと願っても 幾ら逆らおうと願っても それは決して届かない願であり それは決して叶わない願である もしその運命の流れを 知る事が出来たなら 変える事が出来たなら 人は哀しみ嘆く事無く 人は辛く苦しむ事無く 人は憎み恨む事無く 生きていけるのであろうか 運命を流れを 人が永遠に知る事が無いように 人が永遠に変える事が出来ないように その答もまた 人は永遠に知る事は出来ないし 人は永遠に変える事は出来ない その“答”を知るという事 その“答”を変えるという事 それもまた 決して届かず叶わぬ願 永遠に知る事の出来ない 永遠に変える事の出来ない 二つの答 永遠に届く事の無い 永遠に叶う事の無い 二つの願 もしも その答に辿り着く事が出来ていたなら その願を叶える事が出来ていたなら 今でも君は 私の隣に居てくれたのだろうか 今でも君と 笑って過ごす事が出来たのだろうか そんな未来など 最初から存在すらしていないのに どうしても考えてしまう どうしても願ってしまう 答など 永遠に齎されないというのに 願など 永遠に結び付かないというのに
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