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自分でも何を考えているのかわからず、結果的に混乱している最中に、一斉放送の合図が一面に響き渡った。
『緊急連絡です。只今、この学園に侵入者が潜んでいる模様です。職員の方々は至急、会議室までお集まり下さい。繰り返します──』
「これって……」
「私達……でしょうか?」
真剣にヤバいのでは?
もし侵入者が俺達だったら、先生達にどやされることは間違いない。それならば見つかる前に、教室に速やかに移動するのが最善の策ではないだろうか。
放送で先生も職員室に行くだろうし、逆に幸運かもしれない。
その主旨を綾中さんに伝えると、分かったとにこやかに微笑んだ。
「……どうやら大丈夫みたい」
先生はまだ帰っていないらしく、教室の外からでも賑やかな声が洩れていた。
後ろのドアからガラガラと出来るだけ存在を消し、教室の中に入り、無事に自分の席についた。
「やったね!」
綾中さんは無邪気にピースサインをこちらに送る。
全くこの子はほのぼのしてるな。ま、結果オーライってとこか。
数分後、先生が戻ってきて手短にHRを終えた。侵入者の件が主だったが、まさか俺達の事とは思うまい。
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