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────時は流れ放課後。
レクリエーションやら何やらも終わり、淡々と1日が過ぎた。
結局生徒会に入るかどうか真面目に考えることができていなかったため、先生にどう伝えるのか言い訳を必死で考えていたが、HRが終わっても先生は俺を呼び出したりはせず、そそくさと教室を後にした。
なんかちょっと拍子抜けだな。
恐らく侵入者がまだ捕まっていないのだろう。侵入者が俺達だとしたら、永遠に見つからないだろうが。
「夏希くん、一緒に帰ろう?」
1つ安堵の笑みを浮かべていると、隣から綾中さんが誘ってきた。折角誘ってくれたんだ。一緒に帰って他愛もない世間話にでも一花咲かせたい所だが。
昨日出来なかった学校探索をしたいんだよね。
「いや、俺今から学校を探索しようと思うんだけど、綾中さんも来ない?」
自分でも気持ち悪いと分かりそうな飛びきりの笑顔で、逆にこっちが誘ってみる。が。
「あ、えと、今日は早く家に帰るよう言われてたので、すいませんが……」
笑顔に引いたのか、それとも申し訳ないのか、よく分からない表情で断られた。
「そっか。残念。それじゃあまた明日にでも一緒に帰ろう?」
「は、はい!」
綾中さんって、実はとてもいい人なんじゃないか?
可愛らしい笑顔で返事をくれた綾中さんに少しばかりときめく俺は、じゃあまた明日と一言別れの挨拶をして教室を出た。
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