ほんの数秒

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仕事で使っている、軽4のトラック 運転しながら、隣に座っている 葵を少し意識しながら こんな車じゃなく、せめて普通の軽なら… などと、自分の車もまだ持っていないのに 勝手な事を考えていて 『車が欲しいな…』と 切実に感じていた 書類を届ける先までは、車で約10分 この距離を自転車で来ようと、少しでも考えた事を、葵は後悔していた そして、基喜が運転してくれている事に感謝した こんな車じゃ無ければいいのに… と、同じ様な感覚の考えを、葵も頭の中に持っていた 車の中だと、真横に座っているから 顔を見る為には少しでも横に向けないといけない 見て悪い訳ではなくても、意識してしまうと、目が合うのが恥ずかしい 会話が無いと気詰まりだが、会話の糸口もなかなか探せない 「バイト…慣れた?」 ふいに基喜が話し出した 「えっ?」 思わず基喜の方へ顔を向けた 仕事から離れているから、今は髪を下ろしている 茶色い髪が、日差しでさらに明るい色に見えていた 「あ…はい…だいぶ慣れました」 たどたどしい感じに、敬語で話す葵が、何だか無性に可愛く思えて、思わず笑顔になる基喜 「そんな、緊張せんでええよ 同い年やん? 誕生日っていつなん?」 「○年2月10日」 「早生まれなんやな 俺は、○年12月24日 同い年やし、同級生やん」
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