ほんの数秒

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葵は、気まずい空気を無くす為に、頑張って話を広げた それでも最初よりは、お互いに緊張感も無くなり、目を合わす事も出来るようになっていた 葵が郵便局に行っている間、路上駐車をして待っていた その時コンコンと車の窓を叩く音がした 窓の外には、警察官が立って居る 窓を開けると 「こんなとこ、停めたらあかんで」 と、声を掛けられた 「ちょっと、人を待ってるんです」 と、そう言いながら、その顔を見ると 「あれ?峻さんっすよね?」 「基喜だろ?久しぶり でかでかと、『早川工務店』って書いた軽トラで、路駐すんなよ 俺の名前も早川なんやからな」 早川 峻 耕介の息子で、本来なら早川工務店の跡取りだが 一番場違いと思える職業を選ん だ 警察官だ 「事務の子が、郵便局行ってるんで、待ってるだけなんです」 「事務って、美里さんか?」 郵便局に行っているのが、美里だと考えた峻は、少し焦った 長いこと、実家に顔も出して居ない 父親である耕介に事は 特に気にならないが 美里には、頭が上がらない峻 「バイトの子が入ったんです」 「へぇぇ、バイトかぁ」 それを聞いて、ホッとする峻 そこに、郵便局から葵が出て来た 「ごめん 待ったやろ?」 基喜にそう声を掛けた時に、車のすぐ傍に立って居る警察官に気がついた 「峻ちゃん?」 名前を言われた事に、少し驚きながら峻は葵を見た 「あれ?葵ちゃんか?」
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