初恋

2/15
前へ
/185ページ
次へ
母と一緒に、時々出掛けた美里の家 そこには、小さな… けれど、葵よりは少し年上の男の子が居た 峻というその男の子は、ちょっと意地悪な時もあるけれど 葵が、その意地悪で泣きそうになると、玩具を貸してくれた 淡い恋心は、そんな幼い生まれたのだろう 小学生の時には、峻は友達との時間が増えて、葵が会う事は少なくなった 夏祭りがあって、『行きたい』と駄々をこねると 父は店が忙しく、母は体調がおもわしく無く 諦めようとした時に、たまたまその事を知った美里が峻に 「一緒に行ってあげて」 と、言ってくれた 本当なら友達と行きたかっただろう… 流石の葵にも、それぐらいの事は判った けれど、「いい」って言えず きっと嫌がられて、諦める事になると思っていた時 何も言わずに、一緒に行ってくれた 「何やぁ、峻 彼女と一緒かぁ?」 と、友達にからかわれても 「うるさいなぁ」 そう言っただけで、その後も一緒に居てくれた 嬉しかったけれど、気まずくて 嫌われそうで、不安になったけれど 一緒に居られる事が嬉しくて 少しでも峻に笑顔が浮かぶと、もの凄くホッとして それが、葵の峻に対する 『初恋』を確かなものにした
/185ページ

最初のコメントを投稿しよう!

391人が本棚に入れています
本棚に追加