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峻の母は、峻が生まれた時に他界していて
工務店という仕事柄
耕介が面倒を見るのは無理があって
美里が自宅で面倒を見ていた
子供の居ない美里は
峻をかわいがり
自分の息子のように愛情を注いでいた
独りでも大丈夫な年齢になった頃には、自宅に居るようになった
葵は美里に会うという口実で、早川工務店にも出入りして
出来るだけ、少しでも峻に会いたくて行ってみても
結局は遠目に見てるだけのもので、言葉すら出る事も無く
成長と共に、同じ空間に居る事も殆ど無くなり
それが余計に想いを募らせたのか、いつまでも峻に対する気持ちは消えなかった
成長して、高校生になった頃の峻は、バイク乗り
行動が過激になっていた
普段の事は葵には判らなかったけれど、いわゆる『不良』と呼ばれる部類の男になっていた
たまに家に居る時に
葵が行く事があっても
耕介との怒鳴りあいが聞こえて来て、峻の目に
葵が映る事は無かった
たまに目が合ったとしても
無視するように、そっぽを向かれた
気がつくと、家には殆ど居なくなり、美里に聞いてもはぐらかされるだけだった
次に峻の所在を知った時には
峻は警察官になっていたのだ
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