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戻って来た基喜に、秀行が
「お疲れ」
声を掛けた
無言で作業を手伝い始めた基喜
「どないしてん?お前、
ちゃんと葵ちゃん口説いたか?
俺に感謝せぇよ
二人っきりにしたってんからな」
「口説いたりしてませんよ」
「なんでやねん
絶好のチャンスやんけ
お前が葵ちゃん、好きなんはお見通しやで」
その言葉に、少し間を置いて
「偶然峻さんに会いました」
「えっ?峻?」
「ちょうど、郵便局の前で」
「へぇぇぇ……」
「葵ちゃん…峻さんの事、好きなんちゃいますかね…」
その言葉に、少し時間を置いて
「…せやなぁ…まぁ、そうやったかも知れんなぁ」
と、秀行が言い
言葉を続ける
「俺も、思い出したんやけどな、葵ちゃん
見かけた事あるねん
美里さんに会いに来てたんやろな
まだ中学生くらいやったと思うわ
あれって、峻に会いに来てたんかも知れんなぁ」
「秀さん、峻さんの事、よぉ知ってるんですか?」
「そうでも無いよ
俺がここに就職した時は
高1やったかな…
俺よりいっこ下やから
その頃から、えらいグレよってな
耕介さんと喧嘩ばっかししとったわ
家にも殆ど居らんかったし、どうにか卒業はしたみたいやけど
卒業と同時に、完全に家出てしもて、次来た時はオマワリになってたんよ
それには耕介さんも、親父さんも、美里さんも驚いてたわ」
「へぇ…」
「まぁ、元気出せよ
峻なんか気にせんでええわ!!
お前が葵ちゃん、好きなんやったら、それ以外の事は関係無いやんけ
好きやったら、好きやって言うたらええねん」
その言葉に、少し考えながら
「まだ、好きなんかどうなんかも、よぉ判らんし…」
そう言ったものの、気持ちはもう葵が好きだと言っている
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