ほんの数秒

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「こっちでええよ そのへんに置いといて」 そう言った美里の声に、二人は同時に美里を見た 「基喜、この子は葵ちゃん あたしの親友の娘やねん 今日からここでアルバイトする事になってん 葵ちゃん、この子は基喜」 美里の言葉に 「平良 葵です よろしく」 そうはきはきと葵が答え、ニッコリと微笑む 基喜は 「東 基喜です…」 そう、少しドギマギしながら答えていた そこに、皆が聞きなれた怒鳴り声が響く 「こらぁ!!!!基喜っ!! どこでサボっとんねんっ!! 仕事せんかぁっ!!!」 お茶に手を付けようとして、その声に素早く反応したかと思うと 返事をすると事務所に居たのがバレると思い、黙って飛んで出て行った 「耕介さん、相変わらずなんですね でも、こころなしか声がかなり大きい気が…」 「兄貴ねぇ、基喜の事めちゃめちゃ可愛がってんねん 自分がヤンチャやったから、おんなじ様にヤンチャなヤツは、気になるんやろ 自分みたいに変な方に行かんと、ウチに就職しよったから 早よぉ、一人前にしたいんやと思うわ」 「そうなんですか… でも、耕介さんの場合、ヤンチャっていう言い方は、かなり可愛いらしい気がしますけど」 そう言うと、美里が 「それもそうやな」 と言い、二人で大笑いをした
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