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翌日、悠太が呼ばれる。
面会前にDr.と常務から注意を受け、取りあえず病室の前で待つように言われる。
「栞さん、悠太さんが見えましたよ。」
Dr.が栞に告げると、栞の心拍数が急上昇する。
「大丈夫なんだろうなぁ?」
常務は不安を隠せない。
「う――――ん。」
Dr.はモニターを見つめる。
徐々に心拍数は落ち着いてくるので、ナースにモニターやデータグラフを見るように指示する。
「じゃ、悠太さんどうぞ。」
「はい。失礼します。」
悠太はお辞儀をしてから病室に入るが、病室内の重い雰囲気と栞の変わりように驚き、すぐに駆け寄る。
「栞さん大丈夫!?辛かったね💧」
悠太は栞の手を握りしめ涙する。
栞の口が動く。
「勝手に触るんじゃないと言っただろ!」
常務が悠太の背後から囁く。
「すみません。つい……。」
悠太は栞の手を元の位置に置く。
「でも、痛々しくて💧
栞さん、目を開けてよ?」
ゆっくり栞のまぶたが動く。
「ごめんね。ホントにごめん💧」
悠太は栞に謝る。
栞の目が開き、悠太をとらえ、口も動く。
「何?どうしたの?」
悠太は耳を栞の口元に近づける。
「………………………ぃ。」
「栞さん!?何て言った?」
反対側からDr.も耳を近づける。
栞は目を閉じる。
「栞ちゃん!!」
常務は悠太を押しのけて、栞の傍による。
悠太は仕方なく後ろに下がり、栞の様子を見守る。
しかし、栞は何か言いたそうなまま口を閉じ言葉を飲み込む。
「先生、悠太さんの呼びかけにだけ脳波が反応しています。」
ナースはグラフに時間をや状況を書き込見ながら報告をする。
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