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テストまであと3日もなかった。
別に今のレベルなら簡単だし、なにより僕が行く予定の並盛高校もそんなに頑張らなくたって入れるし(なぜなら僕が入れないなんて自体ありえないから)この時間だって本当は風紀の仕事を片付けるはずで、それが終わったら寝たいんだけど。
まあ、要はそれより、
「千那の頭が心配」
「(聞こえない聞こえない)」
「…違う。それはメラニンじゃなくてメラミン。」
「似てるじゃん!!」
「違う。有機化合物の一種で、構造の中心にトリアジン環、その周辺にアミノ基3個を持つ有機窒素化合物。メラニンは人体において形成される色素。」
ちょっと意地悪言ったら「そこまでは教科書載ってないもん…」と今にその口から魂がでてきそうな声で言われた。
うるさい、自分の都合がいいことだけ覚えてる千那が悪い。
わかってる?僕と同じ高校入学しなきゃ許さない
「大体なんで僕が家庭科教えなきゃいけないわけ?」
「暗記一人じゃできないんだよー。雲雀こそ授業でてないのになんでそんな覚えてるの」
「自分に必要なことは大体頭に入ってる」
「実は勉強ちゃんとしてるとか!?」
「それも違う。生れつき入ってる」
…冗談で言ったのに本気で受け止めた顔してる。
「…はあ。嘘だよ。和食とか、自分で作るし、知ってて損はない」
「えぇええ!!!」
僕が嘘ついたことの驚きなのか僕が料理をすることの驚きなのか。
悪いの、って低くした声で言ったら目を見開いて顔をぶんぶん横に振った。
「………私魚の煮付けがいい」
「黙れば」
途端に涙目。
「ねぇ、数学とか、そうゆうの教えさせなよ。だから早く終わらせて」
「…それ、つまりは勉強に付き合ってくれるってことです」
と言って少し赤らめた顔はとっさに隠された。ころころ顔が変わる。一体千那は何種類の顔を持ってるんだろう。
まあ、でも見付けるのは悪くない。
「……成績、」
「?」
「成績上がってたら、家おいで」
ちょうど窓から見える空みたいな。夕日色になった顔が目を細めて小さく笑った
真似して笑ったら、千那は困った顔で笑う。顔の色を変えずに、
今度は僕のを見付けてよ。
表 情 か く れ ん ぼ
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