土曜記念日

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月 火 木 土。 私がバイトに行く日。 あの人が来るのは 土曜日の2時。 その人はほぼピッタリの時間に やって来て、必ずケーキを買っていく。 すぐに顔を覚えたのは、この昼間、しかも休日にスーツで買いに行く人なんて珍しいからで…なんてのは口実。 多分、これはきっと 一目惚れ。 毎週買うケーキ達は何処へ行くのだろう。 自分とか?意外に甘いもの大好きとか。仕事仲間に? それとももう大切な人に… お客さんへの営業スマイルが、こんなに辛いとは。 毎週この土曜日はほかの月 火 木 に比べて断然時間が経つのが遅いけど、今日なんか一秒一秒数えてはため息しかでなかった。 それでも時間はとまってるわけじゃない。 3、2…1! やった、…2時。 思わずにやけるのを抑えていたら、在庫の確認をしてきてと先輩に頼まれ、私の顔は一気にへの字になる。 直ぐさま終えて戻ったときには、すでにあの人はいた。 ほんとに、もったいないことした…。 その人は髪もスーツも真っ黒で、でもスーツはしっかりみる度に黒でも少し違うし、シャツもネクタイもグレーだったり淡いピンクだったりするので、私服にも気をつかうんだろなうなあと思う。 ケーキを選ぶとき、よく首を傾げながら左肩を右手で掴むのは、考えごとをするときのクセなのだろうか。動かす度に腕についたシンプルな腕時計が光る。 「いらっしゃいませ」 そういった途端ケーキに釘づけだった切れ長の目がこっちに向けられ、また元に戻される。 これだけの動作が他の人と違ってみえる。この人は私と同じ人間なのだろうか。  
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