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僕は今、入り口付近のカウンターの隅っこにいた。 僕の横にはカウンターを挟んで店の女店主と相沢がポルトガル語で交渉していた。 相沢は激しい口調でポルトガル語を捲くし立てている。 言葉は聞き取れないが、内容は大体分かっている。 相沢は必死に僕の注文を店側に通そうとしているのだ。 だが、店側にしてみればやっかい以外のなにものでもない。 店側と激しく言い争う相沢を見て、「出て行け!」と言われなければいいと思っていた。 さっきの店よりもこの店の方が人気があるのか、入り口付近は男たちで混みあっていた。 こんなに混んでいて、女の子の数が気になった。 女はいたとしても、それだけいい女はいなくなる。 それが、自然の摂理だと僕は思っていた。
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