ウーニカ／ドゥープラ

１

ホテルのそれほど柔らかくないベッドの上で持ってきた金を分散しながら、僕はそんなことを考えていた。

まだ全てをレアルに両替してはいなかった。

細かいレートなどをいちいち計算する気はなかったが、外国では何事も一気にやってしまわない方がいいと思っていた。

〝何か〟あった時の為に、何事も分散して行なうのだ。

そして、常に〝最善〟を考える……。

日本から持ってきた財布は全部で五つあった。

その全てに金を分散し、さらに街に出る時は持っていく財布は一つ。

もちろん、ポケットの中や靴下の中などにも何枚かの紙幣は忍ばせておく。

後はホテルに置いておくが、全てをセーフティーボックスに入れるわけじゃない。

紙幣をバラバラにし、持ってきた文庫本の隙間や、旅行鞄の中に眠っている未使用の服の中に隠した。

金に関してはそれほど慎重になっていた。

ある意味、それは自分の命と一緒だった。