19人が本棚に入れています
本棚に追加
久しぶりだな。
そんな会話で互いに挨拶をする。
だが、その声色は硬い。
やはりどう言っていいのか。
向こうも言葉を選んでいる様子。
しかし痺れを切らすようにしてオカジマの方から切り出した。
「死んでたってな。ユキヒロから聞いたよ」
ノブが東京へ行ってから。
俺もそうだが、当然オカジマも誰も何をしていたか知らない。
いきなり突きつけられる事実に、俺たちは誰もがそれを抱えきれずに困惑していた。
「そんな、3年前に死んでたって言われても、なんの実感も湧いてこねえよ。それに、自殺なんだって?俺、何て言っていいかわかんねえよ」
俺もだよ、皆同じさ。
やりきれなさの滲むオカジマの声に、俺はなだめるように語りかける。
3年前だろ、7年間、あいつ、一体どうしてたんだろうな。
さらにトーンダウンするオカジマの声。
俺は一息つく。
このままいても、悲しみが渦巻くだけ。
話題を変えよう。
ところでよ、お前は今どうしてんだよ。
オカジマははじめ、関係ねえとばかりに淡々と答えていたが、話す内に気が晴れてきたのだろう。
徐々にあいつが持つ明るさの片鱗が顔を出してきた。
あっ、そうだ。
バンド。
俺は大事な事を思い出した。
最初のコメントを投稿しよう!