走り出せ、俺達

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聞けばオカジマは相変わらず一人で気ままにいるとのこと。 とりあえず、聞いてみるか。 俺はユキヒロの結婚式でサムライマシンガンを再結成する話があることを伝えた。 しかし、ノブの死によってメンバーが揃わない事もあって、その話は白紙になりつつある。 でも、俺はあえてやりたいと思っている。 お前は、どうだ。 少し熱っぽく語ってみた。 その方が、こいつには響くだろう。 考えているのか、言葉が切れる。 「バンドをやめると言い出したのはキッシー、お前だ。なのに今度はまたやろうと言い出す。正直、何言ってんだという思いはある」 バンドを解散したからノブは東京へ行った。 解散しなかったら、ノブは死ななかったかもしれない。 オカジマの言葉が胸に突き刺さる。 それは... 俺には返す言葉がない。 冗談だよ。 あいつが死んだのはあいつの理由さ。 そこまでお前が背負い込めねえよ。 電話越し、オカジマが微かに笑うのが分かる。 「バンド、やろうぜ。機会があるんなら、ノブがいないからこそやる意味があるのかもしれねえ」 そうか。 とだけ、俺は答える。 オカジマ。 お前、バンドやめたくなかったのか。 オカジマは答えない。 「過去の話だろ。もう忘れたよ。それじゃあ詳しい話が決まったら連絡してくれ」 そうとだけ告げてあいつは電話を切った。 くそ。 半端に意味深な事、言いやがって。 解散しなかったらノブは死ななかったかもしれない。 その言葉がいつまでも俺の中に渦巻いていた。
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