走り出せ、俺達

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翌週。 俺たちはスタジオにいた。 時間料金制の普通のスタジオだがリョータの住む町にいい所があるというので、そこに集合したのだ。 当然、練習をするために集まったのだが、最終的に結婚式の余興としてやるかどうかは実ははっきり決まっていない。 ユキヒロに連絡し、俺たちバンドとしては望むところだという意思は伝えたのだが、どうも決断しかねている様子。 まあ、やるやらないの判断は主催に任せるとして、俺たちもそれなりの準備をしないといけない。 なんつっても10年振りだ。 いきなりやろうと言っても出来るもんでもないので練習は必要だ。 「うちの社長が別にやってる事業のスタジオでよ、事情を話したら自由に使わせてくれるって」 というリョータの話。 まじか。 そりゃ幸運だな。 3人とも住んでる場所がバラバラだし、集まるだけでも移動やらで何かと大変。 そんなんだからスタジオ代が無料というのは心から助かる。 それに据え置きの機材も中々のもの。 「おいおい、マーシャルじゃねえか。これ、本番でも借りれねえかな」 オカジマがアンプを見て驚いている。 「エフェクターの貸し出しとかもやってるらしくて、それも自由に使ってもいいって」
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