走り出せ、俺達

22/26
前へ
/134ページ
次へ
2時間ほどの練習の後、時間は昼を回っていたが軽い食事をとろうということで近くのファミレスに行くことにした。 何より、この3人で集まることが10年振りなんだ。 どんな口実つけてでも、ちょっと話し込みたくはなるもんさ。 「そういやオカジマ。お前、結婚はしねえの?」 何となく俺は気になることを話しかけてみた。 「結婚な。意識しない訳じゃあねえけどよ」 今の彼女とも付き合い出して2年ほど経つ。 年齢とかの時期も時期だし、そういう考えがねえことはねえよ。 オカジマは煙草に火をつけながら話す。 それでな。 オカジマはさらに続けた。 「お前らは、やっぱ結婚してから変わったって自分で思うか」 変わったって言うかな。 俺は眉間を中指で押さえ、リョータを脇目に見ながら言う。 「きっかけとか理由がなかったら何も出来なくなったな」 今回のバンドだってそうさ。 何もなかったら話には乗ってねえと思う。 「守るものができちまったのさ」 とはリョータ。 自分の起こした無茶で、とばちりを誰かが受けるってんならそれはもう出来ねえのさ。
/134ページ

最初のコメントを投稿しよう!

19人が本棚に入れています
本棚に追加