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数々の改造により、身体能力はもちろん、思考能力も底上げされている。よっぽど切れ味のいい武器でも簡単には傷をつけられない、弱い相手なら一瞬で屠れるようなおぞましいほどの戦闘力を持っており、ただでさえ凄まじかった存在感や威圧感も元の比でない。知能も人間とまではいかなくてもそれの少し劣化した程度のものであり、何より、裕司の命令には絶対服従。
最高傑作だ、と裕司は1人頬が自然と緩むのを止められず、悦に入るのであった。
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裕司はボブと名付けられた銀色の毛をもつ狼にまたがり、森をひたすら南に進んでいた。ボブと対峙する前に小動物達を使って得ていた情報によると、どうも南に10キロメートルほど行ったどころに人が大勢集まっているようだ。どうも集落があるらしい。規模からしておそらく村。
現在裕司の近くには人の気配も、人がいた痕跡も感じられないということで、その村に向かうことに決めたのは少し前のこと。
「村に行って出てくるのは天使か悪魔か………」
偵察というか確認に向かわせた動物では人がいるかどうか、だいたい数はどれくらいか、ということを確認することしかできない。それだけできれば立派ではあるがやはり情報がもっと欲しかった。
「とりあえず誰もいないっていう状況は避けられそうだ」
ボブの走るスピードは足場が悪く、たくさんの木々が生い茂る森の中でも抜群の速さで、村に着くまでたいした時間はかからなかった。途中、ボブのような猛獣に襲われるようなことを期待していたのにも関わらず何も起きなかったことに、裕司は一人愚痴た。
森の開けた空間に出た。前方にはもう森がない。あるのは全体的に茶色いかたまり。
おそらくあれが村落だ。
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