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後日、お前んちの仏壇の前に座った。
泣かなかった。
遺影は………
お前は笑ってたから。
苦しかったろ?
辛かったろ?
また、俺がお前を背負って走ってやるから
今度は最後まで俺のそばにいろよ……?
お前がいたから
大好きな野球を諦めなかったんだ。
ありがとう。
ゆっくり休めよ……
おやすみ……
甲子園決勝で打ったホームランボールを
遺影の横に置いた。
君がいた夏。
夢と約束を果たせたんだ。
『おばさん、ありがとう。また来ます。』
あの日、
甲子園に連れていくって初めて約束した日の土手に行った。
向こうから女の子を背負った野球のユニフォームを着た男の子が走ってきた。
『もういいよ…疲れたでしょ?』
『疲れてない!!お前背負っただけで一人で走ってるのと変わんねぇもん!!
いつかお前背負って甲子園のベース回ってやるから!!』
『………。
ありがとう……。』
『なんだよ、急に。』
『ううん。
風、気持ちいね!!』
『………。
そうだな…』
いつかの俺たちのような
約束をして、
笑っていた。
【完】
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