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『こんなに幸せなことなんてもうないよ……』
泣き顔で言ったお前に
俺は笑顔で言った。
『甲子園の決勝でまたホームラン打つ。だから、またお前を背負ってベースを回るんだよ!!』
お前はまた笑った。
でも、その約束は果たせなかった。
予選試合、優勝してから1週間後、
お前は俺を置いて
天国に旅立った。
甲子園が始まるのは
あと、たったの2日だった。
お前に甲子園の土を踏ませたかった。
またお前と一緒にベースを回りたかった。
少しぐらい
わがまま言わせてくれよ、神様……
俺、もう
夢諦めないからさあ……
俺からあいつを取るんじゃねぇよ……
生まれて初めてこんなに泣いた。
立てなくなるくらい。
俺も死にたいって
思った。
そんとき、お前の姉さんが俺のとこに来て言ったんだ。
最後のお前の言葉は
俺の名前だったって。
お前は俺をどれだけ泣かせたら気がすむんだよ……
俺はお前のために
甲子園に行くんだ。
ちゃんと見てろよ。
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