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ゴロゴロ、ガタリ。
永遠に続くかのように思われた馬車の揺れが、止まった。
そして、それの示す意味は一つ。
後ろの扉がゆっくりと開き、懐かしさすら覚える光がこの薄汚れた空間に入り込む。その光に、ある者は歓喜し、ある者は疑問を抱き、ある者は拒絶を示し、ある者は恐怖に身を震わせた。
丸々一日振りの光に、目が眩む。痛みを伴う冷たい懐かしさだった。
扉を開けた男は言う。
「奴隷番号一九八、出てこい」
それは、少年に与えられた番号だった。
奴隷として付けられた、数字。
家畜以下の扱いを受ける者の証。
そしてそれは、この少年の物語の始まりだった。
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