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「あ、あんたを探してたのよ…」
「そう。いいにおい」
返事はするものの、噛み合わない会話。
いいにおい。
台所のご飯の話か。
とか考えてたら
美少年の顔が近付いてきた。
「いいにおい…」
アタシにくっついてる目玉焼きやらなんやらのにおいの事を言っていたらしい。
体を屈めて、服や髪に鼻を刷り寄せてきた。
…グウウゥ。
美少年の腹の音が鳴る。
「っぷ。ご飯、食べようか」
ご飯と聞けば、輝く美少年の顔。
背中に花でもしょってるんじゃないだろうか…。
無邪気な笑顔にこっちまでつられて顔が緩む。
アタシの顔を見て、美少年は
「うん。よかった」
満足そうに一人で頷いてる。
「なに?」
「もう、きのうみたいにわらってくれないかと、おもった」
昨日…。
昨日は、犬を拾っただけですよ。あんたみたいな美少年は拾ってませんよ…。
ああ。あの可愛い犬はどこいったのかしら。
「たべよう。はらへった」
一人上機嫌な美少年にバスタオルを渡し、体に巻き付けてやった。
目のやり場に困るしね!
さっさと食べようと、美少年に促されアタシ達は冷め始めた食卓へと向かった。
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