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その食卓は…ひどいもんだった。
箸、フォーク、スプーン。
どれも使いこなせないらしく、しまいには手掴みで食べ出した美少年に、飽きれながら
フォークの使い方を教えれば、あっと言うまに覚え、器用にそれでご飯を片付けてた。
「ねえ、名前は?」
「シルバ」
「どこから来たの?」
「ニブルヘイム」
「?」
そんな国、聞いたこともない。首をかしげたアタシにシルバは、付け足した。
「きりのくに、だよ?」
ふうん、と軽い相槌を打つ。
あまり、深入りしないほうが、良いかも…なんて思ってた。
「そろそろ帰らないとご両親心配するでしょ」
「いや、シルバしゅぎょうにきたから。しんぱいしない」
修行だとか…。
なんだろう。危ない子なのかな。
さっさと追い出して、日常に戻りたい…。
と、このままの格好で帰らせるわけにはいかないよね。
バスタオル一枚巻き付けた格好をしげしげ見つめる。
管理人の峰村さんの服を借りて来ようかな…。
思い立ったら行動あるのみ。
アタシは、シルバを一人部屋に残し、管理人さんの住んでる一階へと足を向けた。
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