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ニブルヘイム。
霧の国。
人間の住む世界の裏―…下界に、その国はあった。
地面一枚隔てて存在するその国。
遠いようで近く。
しかし、人間とその国の住人が行き来することは滅多に無い。
ただ、空間の隙間だとかに引き寄せられてしまう人間も少なく無く。
それは、神隠しだとか、いろいろ言われていた。
常に薄暗く、濃い霧がたちこめていて。
空に太陽はなく、どんより重い雲ばかりが敷き詰められていた。
そんな国が、シルバの産まれ育った所だった。
「白ばばさま!大変です!シルバ様の様子が…!」
町の外れのお屋敷で、慌ただしく居間のドアが開かれた。
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