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残業を終えた満月の夜。
道端にうずくまる、いっぴきの犬を見つけた。
灰色の毛波は、ボロボロ。
目には獣特有の覇気も無く。
呼吸するたびに上下する腹がとても弱々しくみえた。
「おい、大丈夫?」
しゃがみこんで、声をかけると、首だけ上げてこちらを眺めてきた犬。
「アタシこれからご飯だけど一緒に食うかい?」
持ってたコンビニの袋を、犬が見えるように掲げると。それがなんなのか、理解したようで。
犬はややフラつきながら腰をあげる。
歩き出せば、後をついてくる。
こんなアタシにも頼ってくれる存在がある、てことに喜びを感じていた。
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