アタシと野獣

新月

それは、パスポートやら住人票やらの重要な書類。
だった。

『届けモノ』
『シルバへの贈りモノ』

カラスが同時に喋った。

『オーディン様からの贈りモノ』
『オーディン様からの届けモノ』

オーディン様…？

またなんか、新しい専門用語が出てきたわよ。

なんて身構えていると、テレビに夢中になってたシルバが、いつのまにか話に加わってた。

「オーディン様、シルバの事知ってるのか」

『番人の狼が旅に出たことくらいお見通し』
『オーディン様はなんでも知ってる』

身分証明書のプレゼントなんて、洒落てる人だねそのオーディン様ってのは。

三人…？
一匹と二羽？が会話している。
カヤの外になったアタシはその身分証明書をしげしげと眺める。

なんか本物っぽいじゃない。
やるわね、オーディン様。

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