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「マキコ大丈夫?」
覗きこまれて、名前を呼ばれハッと我に返る。
いつのまにか、白ばばさまはいなくなっていて。
「し、白ばばさまは?」
「あっち」
指差されたほうを見れば、顔見知りに挨拶をしてるのだろう。
向こうで誰かと話している。
「大丈夫?」
また問われる。
心配そうに首を傾げるシルバ。
急、過ぎる。
帰ってしまうだなんて。
「シルバ、帰っちゃうんだね」
「みたいだね」
動揺してるのを、シルバに悟られないよう、普段通りにしてみる。
「みたいって…シルバは知らなかったの?」
「うん。シルバも、さっき初めて聞いた」
普段通りってどんなだっけ…。
声は、裏返って無い。大丈夫。
顔は…引きつってると思う。
「そっかあ。さ、寂しくなるなあ」
あはは。
なんて、空元気に空っぽの笑い声を上乗せして
本音を冗談めいて呟いてみた。
シルバの顔がまともに見れない。
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